「モバイルファースト」について考える

「モバイルファースト」

昨今「〇〇ファースト」という言葉が流行ってますね。
それはさておいて、
「モバイルファースト」という言葉が誤解を生んでいます。

誤:モバイルから先に作る
正:エンドユーザの事を考えた作りにする(結果的により条件の厳しいモバイルを優先的に考慮する)

大雑把過ぎるな…

認識は間違ってますが、結果的に完成するものは似たようなものになるのではないかと思います。
制作会社は「クライアントファースト」です。
どんなにセンスのあるデザイナーも「クライアントが気に入る」デザインにしかならないのです。
そしてクライアントは企業がほとんどなので、
確認するのはほぼPCです。
故に制作はPCから始まりがちです。

一旦中断して、
エンドユーザにとって良いサイトとは何でしょうか?
極論すれば「機能美」を追求する事です。

  • 無駄な情報が載っていない
  • 目的の情報を最短で見つけられる
  • 直感的な操作でも迷わない

通信速度や画面サイズ等、より条件の厳しいモバイルであれば厳選してしかるべき項目です。
ですが、クライアントはこれにたどり着きません。
何故か?

クライアントはエンドユーザの事は考えていません。
考えているのは自社のPRです。

つまり、同業他社よりも見栄えの良いデザインや、
自社のアピールポイントの大量記載。
ECサイト等やってようものなら、
「商品を売りつけたいです!」
という心の声がだだ漏れのコンテンツの数々…

モバイルファースト:コンテンツは厳選し、サイトの質を上げて勝負しろ
クライアント:あれもこれも全部アピールしたい!

これで良質なサイトができるはずも無し…

さて、話を戻します。
クライアントファーストな制作会社は結果的にPCサイトから作りがちです。
スペックに余裕が有り、大画面なPCサイトは見栄えも良く、
コンテンツを大量に詰め込んでもまあ見れます。
というよりも制作会社が頑張ってまとめます。

PCサイトがある程度できるとやっとモバイルが気になってきます。
いざスマホサイズのデザインを!
この時点で既にPCサイトはほぼ確定。
何とかスマホサイズに納めようと悪戦苦闘が始まります。

ここで問題となるのが、
「クライアントはいっぱいアピールしたい」
という事です。
つまり、PCサイトに納めた数々のコンテンツを「厳選」なんてできないのです。
結果的にアコーディオン等を駆使して何とか納めるものの、
果たしてこれが「モバイルファースト」なサイトになるのだろうか?

なりません

 

対して、よく誤解されている「モバイルから先に作る」ですが、
認識は間違ってるものの、結果的には正解だと思います。

クライアントに確認させる時にスマホで確認させるのです。
するとどうでしょうか?
「アピールしたい病」のクライアントも、
自分が確認して使い難いとなれば交渉の余地も生まれます。

先にスマホサイトを作成することで、
クライアントを納得させた上でコンテンツを制限できるのです!

ここからPCサイトの制作をはじめればむしろ条件は緩和されてますので、
デザイナーものびのびと大きくなったキャンバス一杯にデザインを広げてくれるでしょう。
さらに、スマホサイトでは厳選した結果お蔵入りになったコンテンツを、
PCサイトでは救済しましょうと言えばクライアントの気分も良くなります。
すばらしいですねw

 

クライアントにPCサイトとスマホサイトを同時に見せながら決断させるのは非常に難しいです。
さらに、先にPCサイトで決めたものをスマホサイトで厳選させるのも非常に難しいです。
つまり、「モバイルから先に作る」というのは認識としては間違っていますが、
実現するための方法論としては効果的なのだと思います。

そのため、現場レベルではあながち間違いとも言い切れない考えなんですね。

 

制作側としては間違った認識は問題ですが、
現場の言動のみを切り取って「誤解している」と断じているのであれば、
その発言者こそ誤解している可能性もあるのでは?

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